画塾のご案内

篠原貴之水墨画塾とは

篠原貴之が主催する水墨画の私塾です。
一般的な水墨画の概論を教えている教室ではありません。
画家 篠原貴之が絵を描く時の考え方や技術についてデモンストレーションを通じて語りかけ、それをヒントや手がかりに、それぞれの感性で絵を描くことを楽しむ会です。

技法を丁寧に学ぶことはもちろん、絵を通して個人的な楽しみを得ることを目的にしています。
暮らしの中に「絵を描く」時間を持ち、描く行為自体を楽しむことです。それなら一人で勝手に描いても良さそうですが、いくら好きでも実際描いてみるとなかなか思うようにいかないもので、すぐ頭打ちになってしまうものです。
そんなとき、自分以外の人の見方や考え方を知ることは刺激となり、前に進む原動力となります。

絵というのはその人の意識的な見方、考え方はもちろん、自分では意識していない自分の性格や質(たち)のようなものが見えてきます。日常ではどちらかというと、あえて抑えているその部分を開放し合って、認め合うのが絵の楽しさであり、この画塾の使命と考えています。

オンライン画塾は、いつでも、どこにいても、何度でも、繰り返し学んでいただける現代の暮らしにフィットした学びの場になることを願っています。

篠原 貴之 SHINOHARA Takayuki

水墨画について

私が水墨という絵画に惹かれ、自身が表現するだけではなく、広めたいと思った理由は、その絵画としての面白さがあまり理解されていないため、とにかく多くの人に知ってもらいたいと思ったからです。

私の考える水墨画のその特徴とは次の3つのことです。
1つ目は、墨なので消せないこと。やり直しが効かないことです。

そして2つ目は、思い通りに描けないことです。柔らかな筆は細くなったり太くなったり、墨色も乾くと色が変わるので、どのぐらい濃いのか薄いのか見分けが付きません。

3つ目は物事を写すには適さないことです。まず色がないので色をそのまま写す訳には行きません。そして筆で描くので、鉛筆のように細かな表現をすることが難しく、現実をそのまま描き写すことは難しい素材です。

となると水墨画は良くないことばかりと思われるかもしれません。
これらのことは現代社会において、とても不便で、不自由なこととネガティブに映りますが、発想が変わると、とても便利で自由なことであることを知ります。

初めに理想的な仕上がりのイメージを持ちすぎると、そのプロセスでイメージから外れたことは全て失敗とみなしてしまいます。
ですから水墨画では事前のイメージをざっくりしたものだけにして、何が出てくるのか楽しみといった気持ちで描かなければなりません。滲みすぎたり、太すぎたり、黒すぎたりとなかなか思い通りに出てこない一期一会の一筆を、先入観を捨てて楽しめだすと、描くということが、全く別の意味合いを帯びてきます。創作が自分の意図を超えるのです。

そしてしばらく続けて、筆墨に慣れてくると、感のようなものが築かれてきて、測ったり何度も試したりすることなく、たった1本の筆と数滴の墨だけで絵が描けるようになってきます。

また色がなく、筆で細かくも描きにくいことは、絵を表現へと向かわせ、写すことから開放されます。これを自由と呼ばずなんと呼びましょう。

一見古く不自由、不合理に感じる水墨画のなかに、今こそ大切なものがたくさんあるように思えてなりません。

グラデーション ペインティング ー暮らしにフィットした新しい水墨画ー

水墨画と一口に言っても様々な絵があります。范寛などの北宋画と斉白石、雪舟と横山大観も全て水墨画と呼ぶわけですから、水墨画という言葉は、墨で描くという以外に、なんの絵の傾向を表すものでもありません。実際には、それぞれが好きな傾向のものを、勝手にこれが水墨画だと思っているのが現状です。

では、私が水墨画と呼ぶ時にイメージしているものは何かというと、それは長谷川等伯の「松林図」です。作者の意図や自我のようなものを超えて、この物事の本質がそこに、自然にある感じが素晴らしいじゃないですか。絵自体が自然となり、逆に作者は消えてしまうような感じ、これはとても日本的な感性だと思います。技法的にもシンプルな墨使いと、リズムのある巧みな筆使いという、水墨画の原点がここに描かれているように思えます。

長谷川等伯「松林図」

ここをベースに私なりの解釈で水墨での画作りをまとめ、グラデーションペインティングという新しい水墨の技法をこの画塾を通して確立してゆきたいと思っています。松林図から学んだ、筆に墨を取り、墨が枯れるまでの墨色の移り変わり(グラデーション)を、遠近という空間や印象の移り変わり(グラデーション)と重ね合わせる水墨ならではの技法を、グラデーションペインティングとして、現代絵画の新しい考え方として捉え直す試みです。

半世紀絵を描いてきて、グラデーションは自然の法則であり、私が水墨画に惹かれてきたものの核心だと言う思いに至りました。

テーマも現代の暮らしに応じて、水墨画というジャンルのイメージに縛られることなく、外国の風景や人物なども交え、それぞれが心に残った物事を、このグラデーションの考え方で自由に描いて行ける場にしてゆきたいと思います。水墨画というジャンルを超えて、このグラデーションペインティングの技法や考え方が、様々な分野の人の既成概念を揺り動かし、自由な創作の一助になることを願っています。

一緒にグラデーションペインティングを作っていきましょう。